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 相続対策と言うと、我が家は資産も少ないので全く縁のない話だと言う人も少なくない。
 確かに相続税と言う観点からすれば、相続税を支払うケースと言うのは、亡くなった人の4、5%程度であり沖縄県の場合、2004年に相続税の申告をした人は293人で、相続税に関して言えば、ほとんどの人が関係のない話と言うことになる。しかし、財産の多寡にかかわらず相続で、最もトラブルが多いのは「遺産分割」の場合である。
 「うちの家族に限ってそんなことはない」と言う人も多いと思うが、遺産の分割と言うのは、単に「財産」を分割すると言う要素だけではなく、介護や祭祀の承継など、相続分が多い、少ないと言う要因より根深いものがあることを理解してもらいたい。
 場合によって「相続対策」は「争族対策」と表現されることがあるのも事実だ。
  ところが、これほどまで深刻な問題を引き起こす可能性があるにもかかわらず、具体的に相続対策を進めている人はまだまだ少ない。その原因の1つは「相続」という言葉から「死」をイメージする人が多いと言うことである。そしてもう一つは、他者の財布の中身を詮索する事はタブーであると言う、日本人のお金に対する感覚から生ずるものだ。
 ところが、相続対策への発想を変えることで、相続対策がひ相続人の人生を豊かにするための起点になることもあることを知って欲しい。
 相続と言うと財産を残すと言う考え方が強いが、本来の相続対策は「どれだけお金を使うか」あるいは「お金が使えるか」を考え、資金の使途を明確にすることから始まる。
 例えば、旅行や趣味など、今後の「人生を豊かにするための資金」、そして、生活費や住宅の修繕費など「生活に必要な資金」、介護や入院など「万一の際の予備資金」、そして、残ったお金を子どもたちに残す、と考えるのである。
 相続で承継していくものは、実は資産ではなく、生きるための知恵や伝統を引き継いでいくことでもある。清明祭や旧盆など沖縄では祭祀が多い。目的は先祖を供養することではあるが、行事を中心として親族が集い、絆を確かめ合い、その中で生きるための知恵を伝えていく目的があり、その伝統を安定的に維持していくための経済的な支援として資産を残す。
 このように発想を変えると、相続対策の進め方もおのずと変わってくる。つまり相続対策の中心が、被相続人であることがより鮮明になるものである。私も数百件の相続に関わってきたが、早めに対策を立てることは重要であり、かつ相続対策の主役を見誤らないことが、相続対策を上手に進めるコツである。
 
(ファイナンシャルプランナー:古謝 好昭)

 

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コラム

2006年2月20日【月】琉球新報夕刊

被相続人の人生を豊かに

相続対策

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